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理想の音楽家への道を模索中です


by natsukifg
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大人になると・・・

「大人になると夢や希望が無くなる」とか、「物事をまっすぐに見れなくなる」とは世間一般よく耳にする話だけれど、自分に関して言うならば、年齢を重ねた方が心は純粋だし、物事を真っ直ぐに見ているんじゃないかと思います。

自分を取り巻く環境は当然子供の頃よりも複雑ながら、要するにそれも踏まえての「経験」という名の「余裕」?・・・なんていうエラそうなことはモチロン言いませんがね。

演奏家の仕事・・・それは、「楽しいか、あるいは楽しそうかどうかなんてどうでも良いからプロフェッショナルに演奏することだ!それは音程だ!リズム感だ!そして音色だ!!」などと子供みたいなことをいい年を迎えた大学生時分に考えていたものですが。なにもそんなに遠回りな難しい方法を選ばなくっても、楽しかったら全体的に「イイ感じ」に引っ張られる力を借りたらいいじゃんってことに至ったのも、やっぱり物事を斜めから部分的に見なくなった一つの成長なのでしょうねぇ。うーん、あの時分に早くもそこに行き着いていた私の音楽仲間達には頭が下がりますね。

練習室でバッハの無伴奏チェロ組曲をさらっていたら、チェロのハンガリー人がやってきて、「興味深いから今僕のために一度吹いてみて」と言われました。「これだけさらい込んでない曲をこのリードで人前で楽しく吹けたらちょっと自信もっていいよなぁ」なんて思いながら吹いてみたら、結構気持ちよく吹けちゃったりして。うーん、自分の「楽しむ」に関しての「ドあつかましさ」も捨てたもんじゃない・・・な~んて変なことに自信を持てるのも、子供っぽさというよりは寧ろ大人への一歩と言えるような気がします。

谷崎潤一郎の言葉を借りるなら、

少女の時分にはそれらの歌を、何と云う月並みなと思いながら無感動に読み過ごして来た彼女であるが、年を取るにつれて、昔の人の花を待ち、花を惜しむ心が、決してただの言葉の上の「風流がり」ではないことが、わが身に沁みて分かるようになった

・・・・ってこと。
人は皆、大人になるほど心は単純で美しくなっていくものではないでしょうか?
by natsukifg | 2007-05-01 06:34